管理栄養士が教えるビタミンB1(チアミン)とは何か?

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今回は水溶性ビタミンの1種であるビタミンB1(チアミン)が

体の中でどのような働きをするのかを紹介していきます。

水溶性ビタミンとは

 ビタミンには脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの2種類があります。今回説明するビタミンB1は水溶性ビタミンの1種です。

 水溶性ビタミンとは文字通り水に溶けるビタミンのことです。

水溶性ビタミンは調理の段階で失われやすく、体内に蓄えることが出来ないため、毎日摂取して欠乏症にならないように注意しなければならないビタミンです。

ビタミンB1の役割

 ビタミンB1は糖質をエネルギーに代謝するために大切な栄養素です。

 また、ビタミンB1は化学名でチアミンと呼ばれています。ビタミンB1は体内でリン酸化を受けてチアミンピロリン酸となり体内で脱炭酸反応を触媒する酵素(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ)とトランスケラーゼの補酵素として機能しています。

 ピルビン酸デヒドロゲナーゼはエネルギー産生で重要な役割を果たします。このピルビン酸デヒドロゲナーゼが不足すると体内にエネルギー産生過程で生成されるピルビン酸と乳酸が細胞内に蓄積します。

 また、トランスケラーゼの補酵素としては脂肪酸合成に必要な物質を生成するペントースリン酸回路に作用しています。

欠乏症・過剰症

 欠乏症とは私たち人間が正常な生命活動を維持するために必要な摂取量に足りない状況が続くと起こる症状です。

逆に、過剰症は人体が蓄えられる許容量を超えて摂取している状態が続くと起こる症状です。

 ビタミンB1の欠乏症は脚気と神経系障害があります。神経系障害はウェルニッケ・コルサコフ症候群があります。
 脚気とは・・・
ビタミンB1が欠乏すると、まずはイライラ、倦怠感、食欲の低下などの症状が表れます。また末梢神経や中枢神経に異常が生じ、手や足の先に痛みやしびれが出るようになります。さらに進行すると筋力が衰え、感覚障害が出て歩行が不自由になります。また膝下をたたくと足が跳ね上がる膝蓋腱反射がなくなり、反応しなくなります。重症化すると同時に心臓機能が低下し、心拍数の増加、手足のむくみ、胸水がたまるなどの症状が表れます。急に心筋虚脱を生じる脚気衝心(かっけしょうしん)が出ることもあり、最悪の場合は心不全により死に至ります。

 ウェルニッケ・コルサコフ症候群とは・・・

ビタミンB1(チアミン)の不足によって起こるウェルニッケ脳症とその後の後遺症であるコルサコフ症候群のこと。

ウェルニッケ脳症とその後遺症であるコルサコフ症候群のことをウェルニッケ・コルサコフ症候群と呼びます。

ウェルニッケ脳症はビタミンB1(チアミン)の不足により、脳の奥のほうの部位(脳幹部)に微小な出血が起こり、細かい眼の振るえ(眼振)が目の動きに制限が出る(眼球運動障害)、意識障害などの精神状態の変化、ふらつき(失調性歩行)といった様々な症状が急激に出現します。

 

ウェルニッケ脳症の原因としてはアルコール依存症が半分を閉めますが、悪性腫瘍、消化管手術後、重症のつわり等のチアミン不足を生じるすべての病気でウェルニッケ脳症が起こる可能性があります。発症直後にチアミンを大量に点滴すれば回復することができますが、実際には見逃されることが多く、死亡率も10〜17%と推計されています。

 

また、死亡例以外でも56〜84%が記銘力障害や失見当識、作話を特徴とするコルサコフ症候群へ移行していきます。一旦コルサコフ症候群になると回復は困難であるため、ウェルニッケ脳症の段階で早期発見・早期治療することが何より重要です。

ウェルニッケ・コルサコフ症候群 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

ビタミンB1が多く含まれている食品

  ビタミンB1はうなぎの蒲焼、豚肉、たらこ、玄米に多く含まれています。

ビタミンB1を取るには「豚肉」と覚えておくといいです!

 また、ニンニクや玉ねぎと一緒に摂取することでニンニクや玉ねぎに含まれるアリシンと呼ばれる成分と反応して吸収効率が上がります。

まとめ

いかがでしたか?ビタミンB1の意外な役割や、摂取量が少ないと健康に害を及ぼす大切なビタミンであることがわかりましたね。

ビタミンB1はエネルギー産生に関わる栄養素なので、疲れが溜まっている人は豚丼などを食べてみるといいかもしれないですね!