管理栄養士が教えるビタミンDとは何か?

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今回は脂溶性ビタミンの1種であるビタミンD

体の中でどのような働きをするのかを紹介していきます。

脂溶性ビタミンとは

 ビタミンには脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの2種類があります。今回説明する ビタミンD脂溶性ビタミンの1種です。

 脂溶性ビタミンとは文字通り油に溶けるビタミンのことです。

脂溶性ビタミンは調理の段階ではほとんど失われることなく、油と一緒に摂取することで吸収率が上がります。

 体内では主に肝臓や脂肪組織という組織に蓄えられます。(脂肪組織は体内に吸収された脂肪の消化と吸収に関与する組織のこと)水溶性ビタミンとは違い、体内に蓄積されていくので取りすぎには要注意です。

ビタミンDの役割

 

ビタミンDは腸管(小腸や大腸など)からのカルシウムの吸収に関係しています。

また、血液のろ過装置である腎臓でのカルシウムやリンの再吸収にも作用しています。リンは骨の形成でカルシウムとともに重要な役割を果たします。

このようなビタミンDの作用をするためには、ビタミンDが肝臓と腎臓で活性型ビタミンDに変化する必要があります。

欠乏症・過剰症

 

 欠乏症とは私たち人間が正常な生命活動を維持するために必要な摂取量に足りない状況が続くと起こる症状です。

逆に、過剰症は人体が蓄えられる許容量を超えて摂取している状態が続くと起こる症状です。

 ビタミンDの欠乏症は小児期と成人期で異なります。

小児期では成長時期に背中が曲がる「くる病」という病気にかかりやすくなります。

くる病(骨軟化症)ではどんな症状がでるでしょうか?

骨が柔らかく、曲がりやすくなり、伸びにくくなります。具体的には、子供では頭蓋骨を指で押しただけで凹むほど柔らかい、乳歯の生えるのが遅い、虫歯になりやすい、下肢が曲がる(O脚やX脚)、身長が伸びない、転びやすいなどが挙げられます。大人では、骨塩が不十分な弱い骨のために骨が曲がりやすく、姿勢を維持するために筋肉や関節に負担がかかることにより、いろいろな関節や背中が痛くなることがあります。

くる病|一般の皆様へ|日本内分泌学会

成人期では骨がもろくなる「骨軟化症」・「骨粗鬆症」になりやすくなります。

骨軟化症の症状は?

骨軟化症では、骨痛を訴えることが多いです。初期にははっきりした症状を訴えることは少なく、腰背部痛、股関節・膝関節・足の漠然とした痛みや骨盤・大腿骨・下腿骨などの痛みがみられます。骨の痛み、特に股関節の痛みは非常に多くみられる症状です。鈍い痛みは、股関節から腰、骨盤、脚、また肋骨まで広がることがあります。もちろん、骨折をしてしまっていれば、その骨折部位の痛みが前面に出ます。さらに発見が遅くなり進行すると、下肢の筋力低下や臀筋の筋力低下による歩行障害、脊椎骨折により脊柱の変形などが現れます。

骨軟化症|一般の皆様へ|日本内分泌学会

 

症状

骨粗鬆症になっても、痛みはないのが普通です。しかし、転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。骨折が生じやすい部位は、せぼね(脊椎の圧迫骨折)、手首の骨(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根の骨(大腿骨頚部骨折)などです。

骨折が生じると、その部分が痛くなり動けなくなります。また、背中や腰が痛くなった後に、丸くなったり身長が縮んだりします。

「骨粗鬆症(骨粗しょう症)」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる

 

 ビタミンDの過剰症としては、腸管や腎臓でのカルシウム吸収が多くなりすぎるため「高カルシウム血症」になる可能性があります。

症状

高カルシウム血症は、症状がみられないこともよくあります。高カルシウム血症の初期症状としては、一般に便秘、吐き気、嘔吐、腹痛、食欲不振などがあります。尿の量が極端に多くなることもあり、脱水と激しいのどの渇きが生じます。

極めて重度の高カルシウム血症は、しばしば錯乱、情動障害、せん妄、幻覚、昏睡を伴う脳の機能障害を引き起こします。筋力が低下し、不整脈から死に至ることもあります。

長期間の、または重度の高カルシウム血症では、カルシウムを含む腎結石がよくみられます。あまり多くはないものの、腎不全が生じることもありますが、普通は治療すれば治ります。しかし、腎臓に カルシウムが多く蓄積している場合、すでに起きた損傷は回復しません。

高カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が高いこと) - 12. ホルモンと代謝の病気 - MSDマニュアル家庭版

 

ビタミンDが多く含まれている食品

  ビタミンDは主に魚やキノコ類に多く含まれています。

魚はクロカジキ・サケ・サンマ・サバ・イワシなどが特に多くなっています。

キノコ類では特にキクラゲが多く、シメジやマツタケにも多く含まれています。

 また、食料品の多くは日光の紫外線によってビタミンDに変化するプロビタミンとして存在しているため、天日干しの魚や干し椎茸などの日光に当たった食品に多くなります。そのため、生のキノコ類は調理前に少しだけ日光に当てるとビタミンDの摂取量も上昇します。

まとめ

いかがでしたか?ビタミンDの意外な役割や、摂取量が多すぎても少なすぎても健康に害を及ぼす大切なビタミンであることがわかりましたね。

また、紫外線も関係している不思議なビタミンであることもわかりました。

健康のために飲んでいるサプリメントの中にもビタミンDが含まれいることもあり、複数服用している人は少し注意が必要です。